新築一戸建て

この住宅の図面を描いている最中に思いついた、楽しい妄想の玩具。


ゆるやかで、ゆったりした音楽のような空間を希望されるご夫婦との家づくりは、敷地の上の森に立ち敷地を見下ろした時に見た雑草の植生から、土地の湿気や、日当りが良い場所探しから始まった。

南側の森に対し大きな開口部を設けた、L型の一室空間がこの住宅の空間構成となっており、

中央にあるリビングには、ご主人お気に入りのオーディオセットと本棚が配置され、薪ストーブが置かれた。

玄関といった区切られた空間は無く、土足はきかえ用の石張りがされたリビングの一部がその役目をしている。

寝室やダイニング、秘密の部屋、どこにいても互いのやっている事が気になる空間づくり、視線の先に、森や空を取り込めるように窓の高さは現場で再調整されている。

道路面に対しては敷地の高さを使って浮遊感のある形態にする事でプライバシーを保った。

オイル塗装の床材や珪藻土、天然石、杉板など自然素材に囲まれた、ゆっくりとした時間が流れ、空間が音楽に満ちた「おとてっぽうの家」が出来上がった。