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  3. 建築家座談会 後編 〜建築家 VS ハウスメーカー〜
  • 前編 〜家づくりの今〜
  • 中編 〜納得できる住宅と建築家コンペ〜
  • 後編 〜建築家 VS ハウスメーカー〜

建築家座談会

九州を中心に活躍している4名の建築家にご協力いただき、「建築家との家づくりとはどういうものなのか。」「ハウスメーカーが売る家とは何が違うのか。」などのテーマで、建築家との家づくりに興味のある方へ知識を深めていただく事を目的に座談会を企画しました。

聞き手 フォルツァ北九州オフィス 田中、松原

建築家座談会 後編 〜建築家 VS ハウスメーカー〜

高田

結局のところ、建築家やハウスメーカーも含めてみんな“デザイン住宅”なんですよね。でも、お客さんが求めているのはもう“デザイン住宅”ではないんじゃないかと。「デザインをしてあげますよ」と言っても、お客さんは「エコ」とか「無垢材を使った住宅」を求めている。

福田

確かに「デザインは格好良くて当たり前」という時代になっていますよね。

高田

そうそう、ハウスメーカーもシュッとした格好いいのありますよ。クオリティも高いし。こりゃ負けるわって。(笑)だから、3人建築家が並んでたって、お客さんはハウスメーカーに行くかもですよ「デザイン」を求めているのであれば。

田中

では「プラン」はどうでしょうか?
建築家へ頼むメリットのひとつに「プラン力」があるのではないかと。ハウスメーカーはある程度パッケージが出来ていて、万人に受ける今のトレンドに合うような家を商品化しています。

FORZAに相談にいらっしゃる「どうもハウスメーカーとは合わなかった。」というお客さんは、求めるものが「プランの自由度」や、その「対応力」ではないかと思うんです。

河﨑

それは本職の人(建築家)から言わせれば当然なんですけどね。

田中

FORZAの建築家コンペでは、その「プラン力」をぜひ見て欲しいです。もちろん相性も重要ですが。

陶山

確かに田中さんがおっしゃるようなことが、僕たち建築家が勝負できるところなのかもしれない。ハウスメーカーは、商品開発に何十人も携わって1年に1つとかデザインをしている。そういう商品とは勝負できないですよね。

ただ、ハウスメーカーは、どこにその商品が建つかわからないまま設計している。僕たちは「このお客さんのこの敷地に対してどう捉えるか。」ということをプロとして一生懸命考えている。しかも、コンペならそのプランを3つ4つ見ることができる。

福田

「プランがいいってどういうこと?」という問いに対しての答えとしては、もし、お客さんから了承もらえるとするならば、例えば土地条件が厳しいところで「ハウスメーカーはこういうプランだったけど、建築家に頼んだらこうやってうまく収まった。」といった事例が見ることができれば、一般の方も「あっ、なるほどね。」となるのでは?

陶山

更に「工事費はどちらも一緒ですよ。」となればね。
かえって建築家の方が安くなったりとか。

福田

条件の厳しい土地でも「建築家と組めばキチンと家が建つ。土地も安く手に入る。」という発想がお客さんに生まれれば、土地を購入する前に相談に来るかもしれないですね。

高田

鮮度が上がるか・・・。(一同笑)

陶山

鮮度はたぶん上がらない(笑)にしてもですね、たぶんそういう基本的なところをアピールしていく方がいいんじゃないですかね。

福田

先ほども話したのですが、建築家と話をする前の段階ではお客さんも要望が定まっていないので、今まで見てきたハウスメーカーの内容で要望が上がってきます。流行の書斎とか。
でも、よくよく話を聞くと「実は書斎いらないですよね?」とか分かってくるし、逆に「それならこっちが欲しかったでしょ?」とか提案することもできる。まさにプランの話ですよね。

田中

住宅展示場に行って見て来たものが、そのまま要望に?

福田

そう。そこで見た「アレちょっと良かったな。」というものが要望になる。そして、その要望を僕らが実際の土地にくっ付けてプランするということになります。
でも、そうは言っても予算が決まっているので「何か削らないといけないけど、どうしましょう?」となった時に、上げられていた要望がすぐに消えちゃったり(笑)

陶山

ところで、FORZAではどういうお客さんに対してアプローチするのですか?
建築家に頼みたいけど誰に頼もうか迷っている人なのか、ハウスメーカーで考えている人にも知ってもらいたいのか。

田中

もちろん、建築家を選ぼうとしている方々はもちろんですが、北九州地域ではハウスメーカーで建てる人が多いようなので、そういう人たちに対しても是非アピールしていきたいです。

福田

先ほど陶山さんがおっしゃったように、ハウスメーカーの場合、最初にメーカーが提案する既存プランがあって、「この敷地に対してはこのプランだから、お客さまがご希望されるようなプランの変更は難しいですね。」となるけれど、建築家だとその敷地に合うプランをプロとして提案することができる。

だから「あなたに合った建築家を選べますよ。」というよりは、「あなたの土地に合った、様々なプランを提案することができますよ。」という伝え方の方がいいかもしれないですね。
ハウスメーカーのように最初にプランがあって、それを敷地に当てはめる。ではなくて、“敷地があってそこに対して様々なプランを出すんですよ”という考え方。「それが家づくりの本質でしょ?」と。

高田

ハウスメーカーもいろんなプランを出すんだけどね。ただ、どれくらい魅力があるのか。

河﨑

そう、そうなんですよ。

高田

プランって言うとちょっと分かりにくいじゃないですか。我々建築家みたいなのがいっぱいいるということは、「あなたらしい暮らし方をいろいろと提案できますよ、選べるんですよ。」ということですよね。要はプランって“暮らし方”ですから。

河﨑

あと、間取りとか。

高田

「あなたらしい暮らしと間取りがここにある・・・。」

陶山

やっていることは、30年前、40年前と変わらないんですよね。
震災があって「デザインとか言ってる場合じゃないだろ。」って一般の人は思ってるかもしれない。そこでもう一度「本当の暮らし方って何だろう?何が必要なのか?」っていうことを改めて考える。 “暮らし方”というところをね。

河﨑

NO DESIGN、NO STYLE(笑)

松原

そういうスタイルがあってもいいかもしれないですね。(笑)

河﨑

じゃあ、ノーデザイン、ノー模型・・・ノーギャラ?(一同大笑)

福田

それが一番の売りになったりして(笑)

河﨑

ノーギャラ設計士(一同大笑)

田中

さて、いろいろとお話を伺ってまいりましたが、“建築家との家づくり”、“建築家のプラン力”などについて貴重なご意見を伺うことができました。

あとはそれらを踏まえ、どのように一般の方々にそれを伝えていくかというのは、我々FORZA北九州が担っていくところだと思います。本日はお忙しい中どうもありがとうございました。

一同

ありがとうございました。

建築家座談会 あとがき

建築家座談会いかがだったでしょうか。ふつうではなかなか聞けない、建築家の家づくりに対する想いが垣間見えたと思います。3.11震災後、まだ大きくはないけれども、でも確実に日本人の価値観が変わるであろう今、「家づくり」についてもより深く考えなければならないのかもしれません。自分はどういう生き方をしたいのか。どういう生活スタイルを選択するのか。それを実現するためにはどういう住居スタイルがいいのか。あなたのその問いに対する答のひとつが「建築家との家づくり」なのかもしれません。