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とある土地についてのご相談(難題だぞ・・・)

2020.08.28

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あるお客様から「所有している土地について相談したいのですが、フォルツァさんでお話を聞いてくれますか?」と連絡がありました。さっそくお会いしてご相談を伺っていくうちに、思わず心の中で「ウーン」と唸ってしまいました。

(写真はイメージです。本文と関係ございません。)

 

お客様の相談内容を簡単にまとめてみると、

・親から相続した土地と家(築80年以上?)があり、現在空家となって長い。自分は都市部に住んでおり、

管理だけはしているが老朽化も進んできた。

・場所はそこそこな田舎にあり、インフラも整備されていない(井戸水、汲み取り式)。前面道路は近隣住人の

共有となっている。さらに条件の悪いことに“航空騒音”がある!

 

お客様は「はっきり言って、タダでもいいから手放せるなら手放したい。どうすればいいでしょうか?」と、お困りのご様子。私たちも“家づくり”や“土地活用”等のご相談が多いのですが、今回の場合のようないわゆる”家じまい”は一筋縄ではいかないのが容易に想像できます。

不動産が“負動産”になっているケースです。

 

では、「なぜ“負動産”になるのか」について考えてみたいと思います。

 

1.固定資産税

使っていなくても所有しているだけで固定資産税を払わなくてはなりません。

 

2.損害賠償

所有している土地において、他人に損害を生じさせた場合(例えば、崖くずれ、家屋の倒壊など)、損害賠償責任を負わなければなりません。

 

3.管理の手間

定期的に土地を管理しなければ草ボーボーに。周辺の住人からクレームを受ける事態になりかねません。

 

このように、活用が見込めないなら所有しているだけでデメリットですね。

 

ここで、「土地の所有権および放棄」についてお勉強してみましょう。

基本的に土地の所有権は、その所有者がいらないからといって放棄することはできません。また、現行法上においては、土地所有権の放棄については明文化されていません。ただし、民法では「所有者のない不動産については国庫に帰属する(民法239条第2項)」とされています。これは、相続(不動産だけでなくその他の財産すべて)を放棄すれば基本的には国の所有になります。「不動産だけい~らない。」とはいかないのですね。さらに、相続放棄したとしても、その放棄した財産を管理する“相続財産管理人”を立て、その人に管理を任せて最終的に財産を整理し、国庫に帰属させるという事をしなければなりません。こりゃメンドウですね。

 

さて、「土地を手放す」ためにはどういう方法があるのでしょうか。

 

1.土地を寄付する

「誰か引取ってください。」と寄付する方法があります。

①自治体へ寄付する

ただし、活用しにくい土地を引取ってくれるとは考えにくいでしょう。自治体としてはもともとその不動産から

税を徴収している、いわゆる収入源なのですから。

②個人へ寄付(譲渡)する

これもまた、活用の見込めない土地をもらってくれる人はいるでしょうか?ただし、隣地の人なら可能性は

あるかもしれません。その場合、譲渡された人は贈与税がかかることになります。

③法人へ寄付(譲渡)する

法人であれば事業目的などで活用(倉庫や資材置場・駐車場、保養所や老健施設など)を考えるところがある

かもしれませんね。この場合も譲渡した側、された側の双方に所得税や贈与税など課税の可能性があるかも

しれません。

 

2.土地を放棄する

前述したとおり、なかなか大変なようです。

 

3.土地を売却する

もちろん、これが一番現実的なのは誰しもわかっています。ただ、そもそも所有者自身が「タダでもいいから手放したい。」と考えるような土地がはたして売却できるでしょうか?売れそうな不動産なら真っ先に売却を考えますよね。

(写真はイメージです。本文と関係ございません。)

 

日本の人口減少が叫ばれ、将来ますます空家が増えていくことは明らかです。管理されない(管理できない)不動産の処分に困る人はますます増え続けていくでしょう。さすがに国としてもこの問題について「土地所有権の放棄を可能とする制度」を2018年頃から検討し始め、2020年を目途に法改正を行うと過去に報道がありました。どのような制度になるか現時点では明確ではありませんが、一つの朗報なのではないでしょうか。このような問題に悩まれている方は注視してください。

 

さて、今回ご相談に来られたお客様には具体的な解決の道筋を示すことは難しかったです。

私たちフォルツァでは家づくりのご相談を受ける際、土地探しからお手伝いさせていただくことが多くあります。もちろん、建て主様が住みたいと望まれる土地をお探しするのですが、ふと「“この土地は遠い将来、財産としてお客様がお困りにならない土地か?”という自らへの問いかけが大事。」と今回のご相談で考えさせられました。

 

by Takeshi Matsubara